科学技術振興機構での仕事

 書籍の制作担当

2009.11月~2013.3月まで、独立行政法人科学技術振興機構(略称JST)で、全国の小中学校にくばる子ども向け冊子の制作を担当した。このシリーズは、タイトルにうたう素朴な疑問を入りぐちに、科学的な視点でさまざまことを学べる、イラストあり漫画ありの読み物。ウェブサイトから全ページを読むことができる。

 

2010年『葉っぱはどうして緑色なの?』

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 2011年『海の水はどうしてしょっぱいの?』

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2012年『放射線ってなあに?』

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各リンク先のウェブサイトはCAMP4の飯田さんの下でデザインしていただいた。JSTのウェブサイトのなかでは、ダントツのいい感じだと、勝手に思っている。 

 

仕事のおもな内容

本の制作担当とはいったい何者か。たぶん、JSTのような公共団体の制作担当者といえば、ふつう、団体と委託企業の組織間をとりもつ仕事だろう。方針だけはお伝えし、制作はあくまでアウトソーシングという感じだ。でも、この仕事ではJST本体が雑誌編集部をもっていることも影響し、まずJST編集部の考え方と伝える者として、委託企業の編集部にどんどん関与し、ともに制作していくことが求められた。

 

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台割や全体のサムネイルをまとめる場合もあれば……

 

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各ページでのラフを切ったり、原稿を書いたりすることもあった。

 

この仕事で得たもの

民間の制作と大きく異なるのは、内容に意見し、承認する委員会が存在し、その委員の先生方が、ていねいな赤字を返してくれること。ひとつの書籍に対して、多いときには13人もの赤字が一挙にくる。取りまとめるだけでも1日がかりの、なかなかたいへんな作業になる。

たいへんではあるけれど、得るものは多い。自分たちの制作物に対して、名のある専門家の方々が10人以上も赤字をくれるという機会は、まず、ほかに無いからだ。「それは知らなかった」「なるほど、確かにそう誤解する余地がある…」「そういう教育上の観点は気づかなかった」などと日々学ぶことばかり。

また、そうした貴重な指摘や意見を受けつつも、ときに編集的な理由でそのままには反映しない場合がある。このときは、聞かれても堂々と答えられるよう、自分なりの回答を用意しなければならない。これは、自分たちの「編集判断」というものをロジカルに説明するための絶好のトレーニングになった。